粘弾性調整剤
(増粘剤)
Rheology Modifier (Thickener)

PRODUCTS BY FUNCTION 機能別製品

FUNCTION.03粘弾性調整剤(増粘剤)
塗料に代表されるコーティング材において、塗装、塗工方式に合わせたレオロジー特性の調整は極めて重要です。粘弾性調整剤は、レオロジーコントロール剤とも呼ばれ、コーティング材のレオロジー特性をコントロールすることで、塗装時のタレ防止、塗布厚の調整、塗りやすさの改善、レベリング性の改善、フィラーの沈降防止など、様々な機能を付与します。
現在一般的に用いられている粘弾性調整剤としては、合成系と天然系とがあります。当社では合成系の高分子型と会合型の粘弾性調整剤として、「SNシックナー」「ノパール」シリーズをラインナップしており、塗料・インク、製紙、土木・建築、化学工業用エマルション・ラテックス用などの用途に幅広く使用されています。

会合型粘弾性調整剤

会合型粘弾性調整剤は図1のように疎水部と親水部からなる分子量数千~数万の高分子です。会合型粘弾性調整剤は樹脂エマルション・ラテックス等の疎水性物質が分散した水系の対象液に対して増粘効果を発揮します。増粘メカニズムは図1の通りで、粘弾性調整剤の疎水部が疎水性相互作用によって自身、および樹脂等の疎水性物質と会合することで網目構造を構築し、対象液を増粘させます。会合型粘弾性調整剤の性質は、この会合基によって大きく変化し、会合が強いものほど高い増粘性を示しますが、後述する高分子型粘弾性調整剤よりは、弱い網目構造のため、増粘効果は穏やかとされています。
当社では多様な会合基を有する会合型粘弾性調整剤を有しており、必要なレオロジー特性を発現させます。

粘弾性調整剤メカニズム_会合力による結合

会合型粘弾性調整剤は、(a)のように両末端などに疎水基をもった界面活性剤であり、粒子に会合している分子の疎水基以外の疎水基が他の粒子または他の疎水基と出会うことにより、新たな会合を起こす。十分な量の会合型粘弾性調整剤が存在すれば、(b)のように各点でミセルを形成し、全体として網目構造を形成する。

高分子型粘弾性調整剤

高分子型粘弾性調整剤は、(メタ)アクリル酸を主成分とする分子量数十万~数百万の高分子です。分子量の大きい水溶性の高分子が水に溶解することで増粘効果を発揮します。増粘メカニズムは、主に高分子鎖の絡み合いによるものです。
高分子が水に溶解している水溶液型の製品と、高分子が水に乳化しているエマルション型の製品があり、エマルション型の製品は水不溶状態の高分子をエマルション化しているため、増粘力の高さに反して製品粘度が低く取り扱いやすい特徴があります。エマルション型の粘弾性調整剤は、使用時にアルカリでポリマーを可溶化して増粘させるため、アルカリ増粘型と呼ばれます。アルカリ増粘型のうち会合基を導入していないものはASE(Alkali-Soluble Emulsion)タイプ、会合基を導入し増粘力を高めたものはHASE(Hydrophobically modified Alkali-Soluble Emulsion)タイプと呼ばれます。
当社では、増粘力や与えるレオロジー特性の異なる製品群をラインナップしており、ご要望に応じて最適なレオロジー特性を付与する粘弾性調整剤を提案します。

粘弾性調整剤メカニズム_会合と吸着による網目の形成

高分子型粘弾性調整剤は、(c)のように粒子表面にいくつかの点で会合および吸着している。この高分子が他の粒子を出会うとその粒子表面に会合および吸着し、粒子間の橋かけが起こる。橋かけが進んでいくと(d)のように全体として網目を形成し、粘度を上昇させる。

保水性・流動性改良剤

紙コーティングカラーには塗工時のストリーク、塗工ムラ、ブレード摩耗の防止、ブレード塗工圧、塗工量の安定化、バインダーマイグレーション防止、平滑化して良好な塗工紙仕上げるために粘弾性調整剤を使用しています。粘弾性調整剤は紙コーティングカラーに最適なレオロジー特性のほか保水性調整を行うため、紙パルプ業界では粘弾性調整剤は保水性・流動性改良剤と呼ばれています。保水性・流動性改良剤として高分子型粘弾性調整剤が最も一般的に使用されています。