私たちの生活の身近にある「泡」は産業プロセスにおいては、しばしばトラブルを引き起こす存在でもあります。
製造効率を低下させたり、品質に影響を及ぼしたりすることがあり、特に連続的な生産ラインや精密な作業工程においては、泡の管理は不可欠です。
この記事では、特定の業界で「発生する泡を消したい…」と考えている方々に向けて、それらを効果的に消す方法について解説します。
泡の発生原理を理解し、適切な対策を講じることで、工程の効率化、品質の向上、さらには作業環境の改善に繋がることでしょう。
発生する泡に悩まされている方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも泡とは何?
泡とは、気体が液体または固体の中に閉じ込められたものを指します。一般的に泡は液体中に存在する界面活性剤や疎水性の物質により安定した状態となり、多くの場合、空気や他のガスが液体の中に閉じ込められた形で存在します。
泡の生成は通常、液体が急速に撹拌されたり、ガスが液体の中に強制的に注入されたりすることで起こります。例えば、水を強くかき混ぜたり、シャンプーや洗剤を水に加えて泡立てることで、水の中に空気が細かく分散し、小さな気泡が形成されます。
産業プロセスにおいては、泡の発生がタンクのオーバーフローやフィラーの分散不良、コーティングの欠陥、スカム発生、製品分離、濡れ・浸透の阻害など様々な問題を引き起こすこともあり、効率的な処理や管理が求められます。
適切に管理されない場合、効率が低下したり、製品の品質に悪影響を与えたりすることがありますので、泡の発生と制御は、多くの産業分野において重要な課題となっているのです。
泡を消す方法
ではどのようにすれば、発生する泡を消すことができるのでしょうか。泡を消す方法としては、機械的な方法と化学的な方法に分けることができます。
機械的な方法
機械的に消す方法としては、送風、加減圧、遠心分離などが挙げられます。送風法では、空気を泡に直接吹き付けることで破裂させたり、液体の表面から除去したりします。これは、表面上の泡を迅速に取り除く簡単な方法です。加減圧法は、圧力の変化を利用して泡を管理します。圧力を下げると、泡内のガスが膨張し、泡が大きくなって破裂しやすくなります。
遠心分離はまた別のアプローチで、高速回転を利用して液体から泡を物理的に分離します。この方法は、液体中に分散した細かい泡を除去するのに有効です。泡を含む液体を高速で回転させることで、遠心力を利用して泡を液体から分離し、クリーンな液体を回収します。
化学的な方法(消泡剤)
化学的な方法としては、消泡剤を用いる方法が挙げられます。
消泡剤は、泡の生成を防いだり、既に形成された泡を消滅させたりする添加剤です。主に泡の表面張力を局所的に変化させることで、構造を不安定にして、気泡が破裂するように働きかけます。
消泡作用については、破泡、抑泡、脱泡の3つに分類されます。
すでに泡立った液体の泡を速やかに破壊する破泡、液体にあらかじめ添加しておくことで、泡の発生をしにくくする抑泡、液体中の微小な泡を集合させて大きな泡にすることで、泡が液面に浮上しやすくする脱泡です。
消泡剤には消泡成分の違いにより①鉱物油タイプや②ポリエーテルタイプ、③高級アルコールタイプなどがあります。また剤型の違いにより分類することもあり、①~③を水に分散させたエマルションタイプと呼ばれるものもあります。これらは、それぞれ特定の用途や問題に応じて適用されます。
①鉱物油タイプ
消泡成分である鉱物油が適切な粒子径で発泡液に分散するように設計されたもの。
②ポリエーテルタイプ
疎水性の高いポリエーテル(2つの炭素原子が酸素原子を介して結合したエーテル基の繰り返しからなる化合物)が消泡剤成分として機能するもの。
③高級アルコールタイプ
炭素数の大きいアルコールが消泡成分として機能するもの。ほとんどの場合、エマルションタイプの消泡剤として使用されます。
基本的には、鉱物油タイプは破泡性に優れていて、ポリエーテルタイプは抑泡性、高級アルコールタイプは脱泡性に優れています。ただし、ひとつのタイプのみを使用すると、液体の性質や条件によっては十分な効果が得られないケースがあり、そのような場合には複数の消泡剤を併用することで、それぞれの特徴を活かし合い、消泡性能を最大限に高めることができます。
効果的に泡を消したいのであれば
効果的に泡を消したいと考えているのであれば、簡便で安価に、またさまざまな泡立ちのケースにすばやく対応できる、化学的なアプローチである消泡剤の使用がおすすめです。消泡剤は、泡を迅速に消滅させることができ、多くの産業プロセスにおいて重要な役割を果たしています。
弊社では、様々な用途に応じた消泡剤を取り扱っていますので、発生する泡でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
【主な取扱い製品】
・塗料(インキ)用消泡剤
・紙・パルプ製造工程用消泡剤
・エマルション・ラテックス用消泡剤
・セラミックス用消泡剤
・その他消泡剤(排水処理用・発酵工程用・抄造用など)
塗料やインキ用の消泡剤は、塗装時における泡の問題を解決します。紙・パルプ製造工程用の消泡剤は、製紙プロセス中の泡を効率的に管理し、品質を向上させるのに役立ちます。
エマルションやラテックス用の消泡剤は、製造から最終製品までの一連の工程で泡立ちを抑えます。また、セラミックス用は、焼成プロセスや品質に与える悪影響を最小限に抑えるために、設計された消泡剤です。
弊社では核剤や消泡成分、界面活性剤を組み合わせることで、お客様の特定の発泡液の性状に合わせたご提案が可能です。各種液体やプロセスの特性に適応し、効率的かつ効果的な泡管理を実現いたします。
泡を消したいとお考えの方へ
様々な理由で泡を消したいとお考えの方々に向けて、この記事では泡の問題を効果的に解決する方法を解説しました。
泡を消す方法としては送風、加減圧、遠心分離など機械的なアプローチと消泡剤を用いる化学的なアプローチがあります。
効果的に泡を消したいのであれば消泡剤の使用がおすすめです。「サンノプコ株式会社」では様々な種類の消泡剤を取り扱っており、お客様のニーズに合わせた解決策のご提案が可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。