塗装は、美しい見た目を保ち、防水や断熱などの機能を高める重要な作業です。しかし、液だれが起こると、見た目の問題だけでなく塗装の機能性にも影響を及ぼします。
この記事では、液だれの原因と防止する方法を解説します。液だれ防止に有効な製品も紹介しているので、液だれを防止したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
塗装の液だれの主な原因
塗装の液だれの原因は、主に以下の3つです。
・希釈剤が多い
・塗料の厚塗り
・天候や乾燥時間
それぞれ解説します。
希釈剤が多い
塗料にはある程度の粘度があり、これによって塗装面に均一に塗布することが可能です。しかし、希釈剤を過剰に使用すると塗料の粘度が低下し、塗料が塗装面にしっかりと留まらずに流れ落ちてしまうため、液だれが起こります。
また、希釈剤の割合が多すぎると液だれした箇所の修正が必要になったり、乾燥時間に影響を及ぼしたりします。見た目が悪くなるだけでなく、余分な時間がかかり作業時間が延長する可能性もあるため、塗料のメーカーが推奨する希釈剤の比率を守ることが重要です。
塗料の厚塗り
必要以上に塗料を使用すると、壁に馴染まず下方向に垂れてしまい、液だれの原因となります。
また、下方向への流れが生じやすくなるだけではなく、内側まで乾燥させるのに必要な時間が長くなります。表面は乾燥しているように見えても内部はまだ乾燥しておらず、その状態で重力が作用することで液だれが発生するのです。
天候や乾燥時間
天候や乾燥時間は、塗装の仕上がりに大きく影響するため、施工時は十分に気を付けなければなりません。
湿度が高いときや気温が低いときは、塗料の乾燥が遅くなり重力の影響で液だれが発生しやすくなります。一方、気温が高い場合は、表面が内部よりも早く乾燥し、内部の塗料が移動してしまうことで液だれが起こります。その他にも雨や曇りの日、風が強い日などは液だれが起こりやすくなるため、注意しましょう。
また、塗料に必要な乾燥時間は、天候によって異なります。乾燥時間が短いと塗料が完全に硬化する前に次の作業を行うことになり、硬化していない塗装面に触れることで塗料が動いてしまいます。
塗料の液だれを最小限に抑えられるよう、天候や乾燥時間には十分に気を付けましょう。
塗装の液だれを防止する方法
塗装の液だれを防止する方法は、主に次の4つです。
・均一に塗布する
・気温と湿度の管理
・塗装前の下地処理
・粘弾性調整剤(増粘剤)の使用
それぞれ解説します。
均一に塗布する
塗装の液だれを防止するために重要なのは、塗料を均一に塗布することです。塗料が塗装面上で一定の厚さを保つことにより、塗料の重みが偏ることで発生する液だれを防止できます。また、乾燥も均一に進むため、塗料が厚くなっている箇所の乾燥に時間がかかり塗料が動いてしまうのを、抑えることが可能です。
均一な塗布を実現するには、塗料の粘度を適切に調整する必要があります。また、一定の速度と圧力で塗装を行うことで、塗料が塗装面に均等に広がり、均一な厚みの塗膜を形成することが可能です。
適切なブラシやローラーなどを使用すると塗装が均等に広がりやすく、液だれが発生するリスクを軽減できるでしょう。
気温と湿度の管理
塗装作業を行う日の気温と湿度は、液だれの発生に大きな影響を与えます。気温が高すぎると塗装液が乾燥する前に流れやすくなり、低すぎると乾燥が遅れ、垂れやすくなるのです。また、湿度が高すぎると塗装液が乾燥しにくく、垂れる可能性があります。
一般的な塗料は、気温が5℃未満、相対湿度が85%以上の条件下では塗装を避けるよう注意書きがされています。気温や湿度も考慮し、適切な条件下で作業を行うことで、塗装液の垂れを防止することが可能です。
粘弾性調整剤(増粘剤)の使用
粘弾性調整剤(増粘剤)は、塗料の粘弾性を調整する役割を持つ添加剤です。塗料の粘度が高くなれば、垂直面や斜面に塗布したときに流れ落ちるのを防ぎ、液だれを防止することが可能です。一方、粘度が高すぎると逆に塗料が塗りにくくなるので、適切な粘弾性に調整することが大切です。
一般的な粘弾性調整剤(増粘剤)には、シリコン ウレタン系、セルロース系、アクリル系などがあります。粘弾性調整剤(増粘剤)を使用するときは、塗料の種類や使用する環境に適したものを選び、メーカーの推奨する使用方法や比率に従いましょう。
塗装の液だれを防ぐ粘弾性調整剤(増粘剤)の役割
粘弾性調整剤(増粘剤)は、塗料の粘性および弾性を調整することで塗料の流動性を調整し、塗装面に均一に定着させる役割があります。粘弾性調整剤(増粘剤)を使用することで、垂直面や斜面でも塗料の液だれを抑え、かつ、塗りやすく美しい仕上がりを実現することが可能です。
塗装の液だれを防止するには
塗装時の液だれは、過剰な希釈剤の使用や厚塗り、気温や温度などが原因で発生します。塗料の粘度が低下し、塗料が塗装面にしっかりと留まらずに流れ落ちたり、乾燥に時間がかかり硬化していない部分が動いてしまったりすることで液だれが起こってしまうのです。
塗装の液だれを防止するには、作業する日の気温と湿度を考慮し、塗料を一定の厚さで塗ることが重要です。また、粘弾性調整剤(増粘剤)を使用し塗料の粘弾性を調整し、垂直面や斜面に塗布したときに流れ落ちるのを防ぐことで、液だれを防止できます。
サンノプコ株式会社では、合成系の高分子型と会合型の粘弾性調整剤(増粘剤)として「SNシックナー」「ノパール」 シリーズを取り扱っています。増粘力や与えるレオロジー特性の異なる製品群をラインナップしており、塗装時の液だれ防止や塗布厚の調整、塗りやすさの改善が可能です。
ご要望に応じて最適なレオロジー特性を付与する粘弾性調整剤を提案することもできるため、お気軽にお問い合わせください。