顔料分散は、着色が必要なあらゆる分野で行われている、発色に欠かせない技術です。色のついた粉末である水や油に溶けない顔料を、水や溶剤中に均等に分散することで、ムラのない色調や品質の向上を実現できます。

顔料を扱う方の中には、「顔料を均一に分散させたい…」「顔料分散について詳しく知りたい…」という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、顔料分散の方法や、分散のために必要となる分散剤の種類などを解説します。顔料を分散させたい方や分散の方法を知りたい方、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

 

顔料分散とは?

顔料分散とは?

 

顔料分散とは、色のついた粉末である顔料を液体中に分散させて、粒子が固まること(凝集)を防ぎ、均一で安定的な状態を保つ技術です。顔料が液体の中で均一に分散することで、ムラのない色調と質感を保った美しい発色を実現します。

顔料を適切に分散できないと、色むらや斑点が生じてしまい、均一に着色できません。インクや塗料、化粧品などの製品には、顔料分散の技術が用いられているため、綺麗でバラつきのないな色調を得られるのです。

また、顔料分散には、できあがった塗料やインクなどの製品を長持ちさせる役割もあり、高品質な製品の生産・提供に欠かせないものといえます。

 

技術の活用例

顔料分散の活用例は、以下のとおりです。

・塗料
・紙用コーティング
・印刷インク
・化粧品
・医薬品
・食品  …など

このように、顔料分散はさまざまな用途に使われています。

例えば、家庭用プリンターに使われているインクは、分散剤の効果で粒子が均一に混ざっています。顔料分散の技術により、インクの均一な色調と綺麗な発色を実現できているのです。

また、化粧品には、液体のものやペースト状の製品が存在します。顔料の色合いを保ちながら水分や油分の多い液状の製品を作るためには、発色の元となる顔料を分散させるために最適な分散剤と分散技術が欠かせません。化粧品の品質が向上しているのは、分散剤の性能向上も影響しているといえるでしょう。

 

顔料分散の方法

顔料分散の方法

顔料分散は、概ね順に以下の工程で行われます。

1.湿潤
2.機械的解砕
3.安定化

それぞれ解説します。

 

1.湿潤

分散を行うためには、まず顔料を分散させる相手である水や溶剤となじませる必要があります。

湿潤は、分散させたい顔料の表面を濡らすことで、水や溶剤を入り込みやすくさせる工程です。

乾燥している顔料は、粒子同士が引っ付きあっており(凝集)、水や溶剤が隙間に入り込めないために分散しにくい状態となっています。顔料の表面を湿らせることで、粒子同士が引き合う力(凝集力)が低下し、水や溶剤の中で顔料が分散しやすくなります。この工程が充分でないと、いわゆる「だま」の状態になります。

湿潤のためには、濡らすための「湿潤剤」が必要となりますが、この湿潤剤は広い意味での分散剤であり、また湿潤効果を持った分散剤もあり、この選定が顔料分散においては重要となります。

 

2.機械的解砕

次に顔料を水や溶剤の中でばらばらにする工程、機械的解砕を行います。

機械的解砕とは、ビーズミルやローラーミルなどの分散機を使用して、顔料の粒子が集合している状態(凝集体)をほぐして小さくする工程です。

専用の機械で力をかけて細かな粒子とすることで、製品の透明性や光沢が向上したり、色浮きを防止できる効果があるといわれています。

この機械的解砕の工程では分散剤が必要であり、適切な種類と量を選定することで、機械的解砕する際の粘度を低下させ、工程をスムーズに、また短時間で進めることができます。

 

3.安定化

安定化は顔料分散における最後の工程で、分散された顔料が再び集まったり(再凝集)沈殿したりするのを防ぎ、水や溶剤内の顔料を安定させます。

細かくほぐれた顔料は、顔料単体では動きやすく液体中で安定しない状態です。粒子と粒子が互いに引き寄せあい、時間が経つと再び他の粒子と引き付きあってしまい、顔料と水や溶剤が分離したり底に顔料が沈降して固まったりして、実使用に問題を発生させます。

安定化には、分散剤が粒子にくっつく(吸着)ことで十分な吸着層を作り粒子を直接接触させない(立体障害)、粒子同士を反発させ(静電反発)、液体中で顔料の分散を安定化さる、といった方法がとられます。

この安定化にも、分散剤の種類や量がポイントとなり、どの様な顔料をどれくらい安定化させるかによって適切な分散剤を選択することが重要です。

 

顔料用分散剤の種類

顔料用分散剤の種類

分散剤の種類は、大きく「高分子型分散剤」と「低分子型分散剤」に分けられます。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

種類 特徴
高分子型分散剤 ・低分子の化学物質(モノマー)が多数連なった化合物(ポリマー)で構成される

・固体粒子表面に吸着することで、粒子の分散性を高めるとともに、立体障害反発や静電気反発を引き起こして粒子を安定化させ、再凝集を防ぐ

・長期間、安定性が良好な分散体を得ることが可能

低分子型分散剤 ・低分子の非イオン性やアニオン性の界面活性剤(湿潤剤)

・粒子と水や溶剤の界面張力を低下させることにより、粒子の表面を濡れやすくし、粒子を分散させやすくする

低分子型分散剤は、立体障害反発や静電気反発により粒子を分散させる力が弱いため、高分子型分散剤と併用することが良くおこなわれています。

分散剤は、それぞれの構造、電荷、吸着性などを使い分けて顔料との相性を調整することで、顔料分散工程をトラブルなく進めることができます。分散させたい顔料や液体(水か溶剤か)の種類、最終的に求める顔料分散体の性状などにより分散剤が使い分けられているのです。

 

顔料を分散させたいとお考えの方へ

顔料を分散させたいとお考えの方へ

顔料分散は、着色に欠かせない顔料の粒子を均一に分散させることで、色調や質感を保ち品質を向上させる技術のことです。顔料分散は、塗料やインク、化粧品、食品など着色の必要なあらゆる分野で使われており、顔料の美しさを引き出す重要な技術といえます。

顔料を分散させたいとお考えの方は、弊社、サンノプコ株式会社の製品をぜひご覧ください。サンノプコ株式会社は、界面活性剤についての豊富な知識・経験があり、消泡・分散・粘弾性調整など、さまざまな機能の添加剤でお客様に貢献します。

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