泡の除去や発生を抑えるために使用されている「消泡剤」。消泡剤には用いる核剤や消泡成分(キャリア)の種類、その剤型によってさまざまなタイプがありますが、その中でも「シリコーン系消泡剤」は、その消泡効果の高さから多くの産業で活用されています。
 
この記事では、シリコーン系消泡剤がどのようなものか、どのような場面で活用されているのかをはじめ、メリット・デメリットについても解説します。
 
あわせてシリコーンフリーの消泡剤についても触れていますので、シリコーン系消泡剤について知りたい方や、シリコーン系消泡剤によって発生する問題を抱えている方はぜひご覧ください。
 

シリコーン系消泡剤とは?

シリコーンとは、ケイ素と酸素が結合したシロキサン結合による繰り返し構造をもつ高分子化合物の総称です。消泡剤のうち、主な消泡成分としてシリコーンオイルを使用するものをシリコーン系消泡剤と呼びます。シリコーンオイルは鉱油などと比べ低い表面張力を有しており、幅広い発泡液に対し安定して消泡効果が得られるため、泡の問題解決や管理のために広く使用されます。
 
オイル型、オイルコンパウンド型、エマルジョン型などの種類があり、それぞれ用途や環境・条件に応じて使い分けられます。
 
オイル型はシリコーンオイルをそのまま消泡剤として使用するタイプで、消泡効果は低いものの、安全性が高い点が特長で、食品添加物として使用されるものもあります。
 
オイルコンパウンド型は、シリコーンオイルに微粉末シリカを配合したタイプで、オイルをそのまま使用する場合と比較して、消泡効果が飛躍的に高まっています。。
エマルジョン型は、シリコーンオイルコンパウンドを主にノニオン系の活性剤で乳化したタイプ(O/W型)です。あらかじめ水に乳化しておくことで、水分散して使用する用途で非常に使いやすくなっています。

 

シリコーン系消泡剤の主な用途

・塗料・インキ
・化学工業(樹脂やゴムなどの製造工程)
・発酵工業(バイオエタノールの発酵工程など)
・電材・無機・金属(セラミックスの製造工程や金属加工など)
・紙・パルプの製造工程
・排水処理

 
消泡剤は、樹脂、顔料、溶剤を混合して作られる塗料やインキの製造工程に使用され、化学工業では、樹脂や接着剤などの製造時に泡を抑えるために使用されます。発酵工業では、サトウキビからバイオエタノールを製造する発酵工程で発生する二酸化炭素による大量の泡を消すために使用されます。
 
また、製紙産業でも、パルプの洗浄工程や抄紙・排水工程で発生する泡によるトラブルを防ぐために用いられ、紙の品質や製造効率の向上に貢献しています。さらに、電材・無機・金属のさまざな用途や排水処理でも重要な役割を果たしております。
 
以上のように、シリコーン系消泡剤は幅広い分野で活用されています。

 

シリコーン系消泡剤のメリット・デメリット

シリコーン系消泡剤のメリット・デメリット 
シリコーン系消泡剤の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
 

メリット

・消泡効果が高い
・安全性が高い
・持続性が高い
・化学的に安定であるため、耐熱性や耐薬品性に優れている

 
シリコーン系消泡剤は、有機系消泡剤と比較して表面張力が低く、優れた消泡効果を発揮します。微量の添加で効果が得られるため、経済的かつ効率的な使用が可能です。泡を迅速に取り除くと同時に、泡の発生も防ぐことができます。
 
安全性が高い点もメリットで、食品関連など、厳しい基準を求められる用途で使用できるものもあります。
 
消泡効果の持続性もあり、長時間にわたって安定した効果を維持する点も特徴です。加えて、シリコーン系消泡剤は耐熱性や耐薬品性に優れており、高温環境や強酸・強アルカリの条件下でも使用可能です。そのため、工業分野や化学製品の製造工程など、過酷な環境でもその効果を発揮します。

 

デメリット

一方で、シリコーンは極めて疎水性が高く、水をはじきやすい性質があるため、トラブルの原因となることがあり、慎重な選定が求められます。
 
例えば、塗料やインキなどの塗膜を形成する用途では、シリコーン系消泡剤の使用を避けたほうが良い場合があります。消泡剤の局所的な拡張が塗膜で起きると、ハジキと呼ばれる塗膜不良を引き起こします。また、複数の塗膜を重ね塗りする際に下塗り塗料がシリコーンを含むと、下塗り塗料の表面に広がったシリコーンによって、上塗り塗料の密着性が低下する事があります。このように、シリコーン系消泡剤は仕上がりの品質に悪影響を与える恐れがあります。
 
また、電子材料用途では、シリコーン系消泡剤が基盤などを汚染する恐れがあるため、使用が避けられる場合もあります。
 
以上のような理由から、使用環境や用途に合わせて、消泡剤の種類を選定することが大切です。

 

シリコーンフリー消泡剤について

消泡成分にシリコーンオイルを使用していないシリコーンフリーの消泡剤もあります。シリコーンオイルの代わりに鉱物油やポリエーテルが消泡成分として機能します。これらとさまざまな核剤を組み合わせたり、用途に合った剤型を選択することで、発泡液中で適切な分散粒子径とすることができ、消泡効果を高めることができます。

消泡剤をお探しなら

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今回はシリコーン系消泡剤の特徴や主な用途、メリット・デメリットについて解説し、シリコーンフリー消泡剤についても触れました。
 
シリコーン系消泡剤は、表面張力が小さく、高い消泡効果を発揮します。耐熱性や耐薬品性が高く、安全性に優れている点がメリットですが、塗膜のハジキや汚染性などデメリットもあります。
 
消泡剤は使用環境や用途に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
 
なお、消泡剤をお探しであれば、ぜひサンノプコ株式会社にご相談ください。弊社では、シリコーン系消泡剤はもちろん、シリコーンフリーの消泡剤も数多く取り揃えており、お客様の使用用途や目的に応じた最適な消泡剤をご提案いたします。
 

さまざまな産業の中で発生する泡でお悩みの方、適切な泡の管理をしたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
 

【主な取扱い製品】

■塗料・インキ用消泡剤
■紙・パルプ製造工程用消泡剤
■樹脂・ゴム製造工程用消泡剤
■ファインセラミックス製造工程用消泡剤
■その他消泡剤(排水処理用・発酵工程用など)
 

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