製造現場やさまざまな産業プロセスにおいて用いられる消泡剤は、トラブルの原因となりえる泡の発生や蓄積を抑制し、製品の品質管理や作業効率の改善に不可欠な存在です。

この記事では、消泡剤の基本的な仕組みや作用、種類について解説し、用いる際の注意点についても紹介します。

消泡剤について知りたい方、利用を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

 

消泡剤とは?

消泡剤とは、液体中に発生する泡を速やかに消したり、泡立ちを抑制、泡を抜けやすくするために使用される添加剤です。製造工程や産業プロセスにおいて泡が発生すると、製品の品質が損なわれるだけでなく、タンクのオーバーフローやフィラーの分散不良、コーティングの欠陥など生産効率の低下や設備の故障リスクが高まることがありますが、消泡剤を使用することでそれらの問題を効果的に防ぐことができます。

消泡剤は、化学工業、塗料やコーティング材の製造、紙・パルプの製造工程、発酵工程や排水処理工程など、多岐にわたる分野で活躍しています。

消泡作用は、主に破泡、抑泡、脱泡の3つに分けられます。すでに泡立っている液体中の泡を速やかに破壊する破泡、泡の発生を防ぐために、液体にあらかじめ添加しておくことで泡立ちを抑える抑泡、そして液体中の微小な泡を集めて大きな泡にし、それを液面に浮上させて除去しやすくする脱泡です。

 

消泡剤の種類

消泡剤の種類

消泡剤には、消泡成分の違いにより異なるタイプがあります。それぞれのタイプは、用途や環境、問題に合わせて用いられます。

1. 鉱物油タイプ
鉱物油を主成分とする消泡剤で、特に破泡性に優れています。消泡成分である鉱物油が適切な粒子径で発泡液に分散するように設計されており、泡を迅速に破壊します。各種樹脂エマルション・ラテックスや水系塗料、水系接着剤など、幅広い用途で効果を発揮します。

2. ポリエーテルタイプ
ポリエーテルを主成分とする消泡剤で、特に抑泡性に優れています。ポリエーテルは、2つの炭素原子が酸素原子を介して結合したエーテル基の繰り返しからなる化合物で、鉱物油と比較して親水性なので、ハジキや凝集物、油浮きの発生といった鉱物油タイプ消泡剤でみられるような副作用が少ない特長があります。紙の製造工程や泡立ちやすい界面活性剤水溶液への内添等で頻繁に使用されます。

3. 高級アルコールタイプ
炭素数の大きいアルコールを主成分とする消泡剤で、脱泡性に優れています。液体中の微小な泡を集合させて大きな泡にすることで、泡が液面に浮上しやすくします。それにより、泡の除去が容易になり、製造工程の効率を高めることができます。

 

消泡剤の作用・仕組み

消泡剤は疎水性で低表面張力の液体が主成分であり、それらが適切な粒子径で発泡液中に分散することで効果を発揮します。発泡液中に分散した消泡剤の粒子は、その疎水性により気液界面を好み、気泡と外気相とを隔てる液膜(泡膜)に入り込みやすい性質を持っています。

消泡剤粒子が泡膜中に存在することが、消泡効果を発揮するための第一ステップです。泡膜の厚みが消泡剤粒子のサイズに近くなると、消泡剤はその疎水性の高さから泡膜を貫通します。

消泡剤の作用・仕組み

消泡剤の作用・仕組み2

泡膜を貫通した消泡剤は、泡膜の表面張力を局所的に低下させます。この時、消泡剤が存在する部分は泡膜が収縮する力に引っ張り負けて急激に拡張し、最終的に泡が破裂する(破泡)というメカニズムです。

消泡剤の作用・仕組み3

消泡剤の作用・仕組み4

消泡剤が効果を発揮するためには、適切な粒子径で発泡液中に分散することが重要です。これは、消泡剤が溶解してしまうと泡膜内で機能しなくなるためです。また、消泡剤は発泡液と比較して十分に表面張力が小さいことも必要で、この条件を満たすことで、泡を効果的に消すことができます。

 

消泡剤を用いる際の注意点

消泡剤を用いる際の注意点

まず、最終製品の品質への影響に十分注意が必要です。先ほど見たように、消泡剤は液膜に穴をあける機能を持っています。このため、塗料やコーティング材などの仕上がり塗膜にも穴をあけて、ハジキと呼ばれる塗膜不良を発生させることがあります。これは、消泡剤の分散粒子径が必要以上に大きい場合に起こるトラブルで、同様に塗膜にムラが生じることもあります。

一方で、消泡剤の分散粒子径が小さすぎると、泡膜を貫通することが難しくなり、十分な消泡効果が得られません。そのため、消泡剤は適切な粒子径で発泡液中に分散させることが極めて重要です。この粒子径の調整には、消泡成分と共に使用される核剤と呼ばれる固体成分が関わっており、これらを用途や条件に応じて最適に組み合わせることで、消泡性能を最大限に引き出すことが求められます。

適切な使用により、消泡剤は泡の生成を抑えつつ、製品の品質を保つための重要な役割を果たしますが、使用条件の慎重な管理が必要です。

 

消泡剤を用いるなら

消泡剤を用いるなら

消泡剤とは、製造工程で発生する泡を効果的に除去するための添加剤であり、泡の生成を防ぐ「抑泡」、既に発生した泡を消す「破泡」、泡を液体の中から浮上させる「脱泡」など、様々な作用を持っています。

消泡剤には種類があり、それぞれの特性に応じて使い分けることが重要です。また、消泡剤を使用する際には、最終製品の品質を損なわないよう、適切な粒子径や分散方法を考慮することが求められます。

「サンノプコ株式会社」では、幅広いニーズに応えるため、多種多様な消泡剤を取り揃えています。

お客様の製造工程や製品に最適な消泡剤を選定し、品質向上や効率化をサポートするための最適な解決策をご提案いたします。消泡剤に関するご相談や製品選びに関して、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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