消泡剤は様々な産業において重要な役割を果たしています。消泡剤の活躍場面にはコーティング分野(塗料やインキ)や製紙分野が挙げられますが、他にも排水処理や発酵工程でも消泡剤は欠かせないものになっています。
この記事では、消泡剤の基本的な概要と、具体的な用途について詳しく解説します。特に、排水処理や発酵工程における消泡剤の活用法に焦点を当て、泡の発生による影響や、どのようにして泡を制御するのかを紹介します。
泡の発生にお困りの方や、消泡剤に興味がある方はぜひご覧ください。
消泡剤とは?
さまざまな場面で発生する泡はトラブルの原因となりえます。この泡を制御または除去するために使用される化学品が「消泡剤」です。主に泡膜の表面張力を局所的に変化させることで、構造を不安定にし、気泡が破裂するように働きかけます。
消泡作用については、既に泡立った液体の泡を破裂させる「破泡」、液体にあらかじめ添加して泡の発生を抑える「抑泡」、液体中の微小な泡を集合させて大きな泡にすることで泡が液面に浮上しやすくする「脱泡」があります。
泡は製造工程や製品の品質に悪影響を与えることがあり、それを防ぐために消泡剤が重要な役割を果たします。
消泡剤の用途・活用法
消泡剤はさまざまな産業、例えば、コーティング分野(塗料・インキ)、紙・パルプ製造などで広く用いられていますが、その他にも排水処理や発酵工程でも活用されています。
ここでは、その排水処理や発酵工程に焦点を当てて解説します。
排水処理
界面活性剤やポリマーを含む工場排水、油脂やたんぱく質を含む食品加工場からの排水、さらに下水処理工程での微生物由来の発泡など、排水処理では様々な場面で泡が発生し、トラブルの原因となりえます。
処理工程中に発生する泡が効率的な処理を妨げることがあり、例えば、泡が過剰に発生すると、処理タンクや反応槽の容量を圧迫し、処理効率を低下させる原因となります。さらに、泡が溢れ出すと、設備の故障や、環境、安全性の問題を引き起こす恐れもあります。
消泡剤を使用することで、それらの泡を効果的に制御し、処理工程を円滑に進めることができます。それにより、排水処理設備の効率を向上させ、安定した運用を可能にします。
また、近年では消泡剤も環境に優しい成分で構成されることが求められており、環境負荷を最小限に抑えながら効果的に消泡することも重要です。
発酵工程
発酵工程においても消泡剤は重要な役割を果たしています。ガソリンの代替燃料となるバイオエタノールの製造工程では、サトウキビなどの糖質を含む原料の発酵により二酸化炭素が発生し、大量の泡が生じます。
その泡膜は粘性が高く、泡が安定化して消えにくいという特性があり、仮に泡が発酵槽内で溢れると、設備の稼働に支障をきたし、生産性が大幅に低下する可能性があります。適した消泡剤を使用することで、その泡を迅速かつ効果的に制御し、安定した発酵工程を維持することができます。
結果として、発酵プロセス全体の効率を向上させ、バイオエタノールの生産性を向上することが可能となります。
サンノプコの消泡剤(用途や活用法)
当社では、幅広い用途に対応する消泡剤を取り扱っております。さまざまな産業プロセスにおいて発生する泡にお困りのお客様のために、最適な解決策を提案しています。
【主な取扱い製品】
- ・塗料・インキ用消泡剤
- ・紙・パルプ製造工程用消泡剤
- ・樹脂・ゴム製造工程用消泡剤
- ・セラミックス製造工程用消泡剤
- ・その他消泡剤(排水処理用・発酵工程用・金属加工用など)
塗料用消泡剤は、塗装時における泡の問題を解決します。紙・パルプ製造工程用消泡剤は、製紙プロセス中に発生する泡の効率的な制御と品質向上に役立ちます。樹脂・ゴム製造工程用消泡剤は、樹脂製造工程からゴム手袋など最終製品の製造までの一連の工程で発生する泡トラブルを抑える役割を果たします。
さらに、セラミックス製造工程用消泡剤は、水系のスラリー調整時に配合するバインダー由来の泡立ちを抑えるために用いられます。
その他、排水処理用消泡剤や 発酵工程用消泡剤、金属加工用消泡剤もございます。
この記事では、消泡剤の主な用途とその活用法について解説しました。
消泡剤は、泡が発生することで品質や効率に悪影響を及ぼす製造工程において不可欠な役割を果たします。
当社では、核剤や消泡成分、界面活性剤を組み合わせ、お客様のニーズに合わせたご提案を行っています。各種液体やプロセスの特性に適応し、効率的かつ効果的な泡の制御を実現することで、様々な産業のニーズに応えています。
泡によるトラブルでお困りの場合はお気軽にご相談ください。